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「自動車大国日本」は10年後もその地位を保てるのか? 2

執筆者の写真: 鈴木誠一郎鈴木誠一郎

更新日:2022年1月15日

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EV化は自動車産業労働者にとっては「痛み」を伴うことになります。ドイツの場合、現在160万人の自動車産業人口が、EV化によって130万人に減少するだろうと言われています。既にドイツでは雇用の削減が始まろうとしています。ルノーは3年後に工場の1つを閉鎖することになれば雇用の40%が無くなるだろうと推測しています。

日本では約550万人の自動車産業人口が、約450万人にまで減少するだろうと言われています。ホンダもエンジン工場の1つを閉鎖することを考えていると言われています。

これに伴って下請け企業の工場では仕事が無くなる可能性が考えられるといいます。その工場では自動車部品以外の新規製品を開発しようと既に力を注いでいる状況にあります。

日本の大手部品メーカーでは、世界のEV化への波に乗りたいということから成長が著しい中国EVメーカーと組むところも出てきています。

EVの最も重要な「要」になっているのはバッテリーです。EVにおいてバッテリーは「心臓」と言われています。ガソリン車の場合はエンジンが心臓でした。

そしてこのEVのバッテリーは、現在、中国の「CIV」の独占状態にあります。世界のEVメーカーに供給しているのです。既に30分の急速充電で300km可能になっているといわれています。

そんな中で今、次世代バッテリーと言われているのは「全固体電池」と呼ばれる電池です。

現在のリチウムイオン電池は、リチウムイオンの働きで電気が発生する仕組みです。

全固体電池の基本的な仕組みはリチウムイオン電池と変わらないのですが、中身の電解質が「液体」ではなく「固体」に変わるというものです。

この電解質を「固体」に変えることで、メリットは大きく広がるといわれています。懸案であるEVの走行可能距離が大きく伸びるからです。それゆえ現在、各自動車OEMでは、この全固体電池開発の熾烈な開発競争が繰り広げられているのです。

もし今後、この「全固体電池」の開発で、日本メーカーがリードしたとすれば、リチウムイオン電池からの移行が一気に進むものと考えられています。それは「電池革命」を起こし「ゲームチェンジャー」として一転、日本が「有利なポジション」をとることが可能になります。それはEV市場においても、日本が最先端を行くことを意味しています。

そして、バッテリー以外にも、もう一つのポイントがあります。現在EVは株式市場においても、同様にもてはやされているように見えますが、テスラも黒字化できたのはつい最近のことでもある通りEVは先行投資が膨大になってしまいます。


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