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  • 執筆者の写真鈴木誠一郎

「自動車大国日本」は10年後もその地位を保てるのか? 3

更新日:2022年1月15日

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つまり、黒字化できるまでにEVメーカーのキャッシュフローが続くのかという大きな問題が根本に存在しているのです。これは今後EV市場に新規参入を考えている企業にとっては大きな課題となってくるものと思います。

したがって、EV化の最終的な勝ち組になるためには、長期レンジでのEV化への投資や自動運転技術への投資が続けられるかどうかという点が大きく左右してくるのです。

つまり、それは現在のガソリン車販売によって、既に企業が大きな収益を確保できており、財務的にも強固な体質をもち、さらに研究開発に膨大な投資ができるということが最終的な勝ち組になるための必要条件になっていくものと思います。

トヨタは全方位戦略ともいうべき「構え」で、この100年に一度の大変化を乗り越えようとしています。複数の「選択肢」を残しておくという戦法であり、これは財務体質の強固なトヨタしかできない戦法でもあると思います。

今回の変化によって、ガソリンエンジン車からEVシフトという大きな潮流を捉えて、従来の自動車OEMだけでなく、新規参入企業、サプライヤー企業が、まさに三つ巴になって

次世代プラットフォームの地位の確立を狙っています。

ガソリンエンジンプラットフォームからEVプラットフォームの供給という製品変化に関わる新規ビジネスにおいて、自社が覇権を取りたいと競い合ってくるものと思われます。まさに戦国時代ともいえるような様相になっていくのではないかと思います。

このように自動車産業における大きな変化は、少なからず、わたしたちの生活にも変化をもたらすのではないかと考えます。モビリティ、移動体としてのクルマは将来にわたって人間の生活には欠かせないものだからです。

これまで日本は世界の中で自動車大国としての存在感を際立たせてくることができました。しかしながら万一、今回の変化を上手に乗り越えられないとなると、他国にその地位を奪われてしまいかねません。そうなると、稼ぎ頭の商品を失った企業のように日本経済にも大きな影響が出てくるものと考えられます。その意味からも注視していくことが必要であると思います。


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