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執筆者の写真鈴木誠一郎

職場の「活性化」はどうすれば実現するのか?

「職場活性化」、これは経営者にとっては永遠の課題であります。会社経営において大変重要な部分であることからこれまでにも様々に提言されていることでもあります。私も普段、経営コンサルタントとして顧問先企業様に関わる中でいつも必ず話題になり、課題になるテーマです。

一口に「職場活性化」といっても、非常に多くの要素が存在し、相互に連動し合いながら複雑に作用しあっている状況、いわばカオス状態の中から湧き出てくるようなものであると思います。したがって要素だけでも抽出するのは骨が折れます。ここではできるだけシンプルに考えていこうと思います。考え方としては「社員一人ひとりの視点」から考えていくことにしましょう。


まず「人」の要素があります。従業員が会社で働いていくとなると必ず「上司」が存在しますし、「同僚」もいます。「部下」もいるでしょう。人は感情の生き物ですから、このような上司との関係、同僚や部下との関係が個人のモチベーションに大きく影響しますね。

次に「お金」の面でいうと、やはり給料や年収も大きな要素になるでしょう。多いことに越したことはありませんが、業界水準を相場として考え、それに大きくズレることが無ければモチベーションも保たれるのではないでしょうか。

そして次に「仕事」です。サラリーマンであれば社内異動がつきものです。せっかく慣れた仕事であっても、いつ新しい部署への配置換えなるのかという人事システムは避けられません。好きな仕事かどうか、自分に合った仕事かどうか、これも個人のモチベーションの大きな要素になるでしょう。

次に「会社」です。会社という器に所属しているわけですから、会社という有形無形の要素も大きく関係するでしょう。会社の内外環境も影響する要素になります。


また個人が日々仕事をしながら感じている感覚としては、「やりがい感」という要素もあると思います。そして、この5つの要素の中で注目したいのは一人ひとりの「やりがい感」です。よく、やりがいがあるとか、やりがいが無いというように表現されるものです。

この「やりがい感」とは漠然としていて抽象的な感覚であって個人が感じる感情です。

それだけに「やりがい」という言葉には、個人がその会社で働いていく中で、いつも感じていることのほとんど全てを包含しているのではないかと考えます。したがって、この個々人の「やりがい感」を高めることができれば、職場全体としての「職場の活性化」として感じることができると思います。

では「やりがい感」とは何でしょうか。分解してみると一体どのような要素から成り立っているのでしょうか。少々抽象的な言い方ですが、

「個人がその職場で仕事をすることで「充実感」「達成感」自己有用感」を感じることができること」

であると思います。これを更に具体的に表現してみるとこんな感じでしょうか。

   ・自分の「仕事」が周囲から重要だと認められている

   ・自分が周囲の人たちの「役に立っている」と感じることができる

   ・「自分」が周囲から認められていると感じることができる

   ・自分の仕事が「お客さまから喜ばれている、感謝されている」

   ・自分がここで「成長」していると感じられる

   ・ここが自分の「居場所」であると感じられる

では次に、このような状態に職場の一人ひとりが感じることができるようになるためには、一体どうすれば良いのでしょうか。何が必要なのでしょうか。

それは、まず本人が周囲から認められるだけの「レベル」の仕事ができなくては話になりません。ですから個々人の仕事レベルの向上やスキルアップを目指して本人が努力していくことが必要です。自分で努力していくことが求められます。


では、会社側はどうすれば良いのでしょうか。それは個々人が、それぞれの仕事レベル向上やスキルアップしやすい環境と体制を整えておくことだと思います。社員の経験年数や年次や現時点でのレベルに応じて、それぞれに合った教育や研修を行っていくことで各人の成長を支援していくことだと思います。

この2つの側面からの努力が継続されていくことで、上記の「やりがい感」の各項目が徐々に醸成され、やがて職場の誰もが感じられていく状況になっていくのだと思います。

もう15年以上も経ちますが、私は首都圏の某自動車販売会社の「業績向上コンサルティング」に取り組んだことがありました。当時は確信が無いままに具体的な方策として、基本的なコミュニケーション知識やタイプ別行動原理、相手を肯定するやり方等を職場の「共通言語」として浸透させていくことを目標に取り組んだことがあります。

その取り組みが功を奏したのかどうか、当時ははっきりとした認識は無かったのですが、その職場に「変化」が現れました。55店舗中48位だった店舗が、約1年後にはトップ3店舗に飛躍したのです。しかし何故、急にトップ3まで大躍進したのかが、当時、私にもよくわかりませんでした。

その後、当時のプロセスを振り返って考えてみると、継続的な取り組み活動が、この「やりがい感」の部分にアクセスしていたのではないかと考えるようになりました。当時としては、確信は無いものの、重々しいどんよりとした空気に一日中支配されていた当時の職場を、少しでも「明るく元気な職場」になってほしいという思いから取り組んでいたものでした。

一人ひとりが自分の役割をきちんと遂行することで周囲の役に立ち、認められ、それが自己有用感として自分自身で感じることができるようになることで、さらに自ら努力するという好循環が生まれていたのだと思います。やはりよく言われるように、頭ではわかっていても本当は分かっていないことがあるものです。やってみないことにはわからないことがあるのだと改めて認識しました。

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